去る12月5日、立憲民主党の会派法務部会に出席し、要望書を提出するとともに、刑事/民事の時効制度について意見交換してきました!
まず刑事上の時効制度について。
これは刑事訴訟法に規定されています。
今年6月に刑法の性犯罪規定が改正され、
あわせて刑事訴訟法の公訴時効が延長されました。
不同意性交罪は15年に、不同意わいせつ罪は12年に、それぞれ5年延長。
加えて18歳未満の子どもに対しては、被害を認識できるまでに時間がかかることから、時効完成の期間に18歳になるまでの期間が加えられることになりました。
でも、、、
例えば現在35歳の人が、16歳の時に被害を受け、その後に被害を認識して、不同意性交罪で公訴提起してもらう場合、33歳の時には時効が完成していて捜査機関に介入してもらうことは難しい状況。
刑法が改正されても、刑事司法からこぼれ落ちる人はまだまだいます。
次に民事上の時効制度について。
民法上の不法行為の損害賠償請求権の消滅時効は、2020年に損害及び加害者を知ったときから3年だったのが、5年に延長されました。
そもそも子どもが性被害を受けた場合に、加害者を知った時点から5年で権利行使することができなくなり、加害者が守られることになります。
例えば10歳で性被害を受けた子どもは、15歳で消滅時効が完成して、もう加害者を訴えられません。
子どもが被害を認識できるまでに時間がかかることを想定した制度設計ではないと思います。
時効の制度趣旨に関しては、また別の機会に整理しますが、政策担当者の議員さんたちからは次の意見が聞かれました。
(刑事上の時効制度)
・刑事/刑事訴訟法上の時効に関しては、今年の刑法改正で附帯決議が付されており、5年後の見直しとなっていることから、すぐに見直すことにはなりにくい。
・証拠の散逸、DNA等の証拠保全の観点から、時効を完全に撤廃するというのは難しい面もあるのではないか。
・時効の制度があることによって、当事者が気持ちの面で一つ区切りをつけることができる側面もあるのではないか。
(民事上の時効制度)
・刑事手続における時効とは違って、民事の消滅時効の考え方はもっと緩やかで、柔軟な考え方があって然るべき。
・民法は一般法であり、2020年の改正では3年から5年延長されたが、これは被害相談した方々からのアンケートによるものだった。そもそも相談した人々を前提にしており、相談に至らなかった人々の割合が明らかに多いところ、そのような調査結果をもとに改正されたとすれば妥当性を欠いている。
・ただし、議員立法での立法化を検討していくことはできそう。
このように意見交換の中で、子どもへの性暴力にかかる民事の消滅時効に関しては、議員立法を検討していく余地があって、来年の通常国会で法案を提出できるようにしていくとのこと。
議員立法で対応するとの言葉を引き出すことができました!
他党に呼びかける必要もあるとのことですが、私たちも政党にかかわりなく、要望やロビイングなどの働きかけを準備していこうと思います。
中村一也 二本樹顕理
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